ブログの生存戦略

はじめに

あなたはこれからブログを始めようとしているかもしれませんし、既にブログを始めているかもしれません。これからブログを始めようとしている人は、どのようにして始めれば良いのか期待と不安を感じ、一方で既にブログを始めている人は、このまま同じ方針でブログを続けても良いのか悩みを抱えています。

ブログの5年生存率は 10 % 程度とされています。多くのブロガーはブログを開始してから1~2年の間にブログを放置するか閉鎖しています。なぜこれ程までに生存率が低いのかと言うと、生存するための戦略がなかったからです。ここではブログ、またはブロガーとしての生存戦略について考えていきたいと思います。そこから見えてくるヒントには、あなたのブログが生き残るための手がかりが隠されているかもしれません。

ブロガーとして生き残るための条件とは何でしょうか。ブログは書き始めた瞬間から誰しもがブロガーになるわけではありません。厳密にはブロガーに含まれるかもしれませんが、ある程度の記事や知識がなければブロガーとしては認められない不思議な論調があります。ブロガーとは、ある種の肩書きのようなものでありながら、その肩書きには社会的に何の権威や効力もありません。それにも関わらずブロガーという肩書きは、単に趣味でブログを書いている人とは区別する奇妙なレッテルのように感じられます。

ブロガーと趣味の物書きを分かつ要因は、ブログに費やす時間や情熱などではありません。それらの要因は、これから紹介するテクニカルな要素が含まれているかどうかで決まります。そして、そのテクニカルな要素は生き残るためのヒントになります。

これから紹介するテクニカルな要素は議論や賛否はあるにせよ、ブロガーであれば必ず知っていなければならないことばかりです。長い間、生き残っているブログにはこれらの技術が多かれ少なかれ使われています。もしも知らない戦略があれば、そこからあなたのブログの生存戦略に関するヒントを見つけてください。

ブログの戦略

ブログの全体的な方針、書くべきテーマ、あなたが得意とする分野、攻めるべきフィールドは何でしょうか。つまり、あなたのブログが生き残るために取るべき戦略は何でしょうか。これは重要な問題です。どのような戦略を選択するかで、あなたのブログが5年後に生存しているかどうかが決まります。

ブログの全体的な方針としては、雑記ブログ特化ブログの2種類に大別できます。雑記ブログと特化ブログの詳細については、雑記ブログと特化ブログの選び方の記事を参考にしてください。

雑記ブログとは、複数のテーマを扱うブログです。個人ブログでは、日常的な様々なことをブログに取り上げます。例えば、趣味、失敗談、書評、ライフハックなどです。これらは、あるテーマについて書かれているわけではなく、自由なテーマで書かれている雑記ブログに分類されます

特化ブログとは、特定のジャンルだけを扱う専門的なブログです。自分の好きなことや得意なことを中心にブログを書きます。例えば、スポーツ、映画、書籍、美容、ゲーム、ガジェットなどです。雑記ブログとは異なり、扱うテーマやジャンルが明確であることや、記事の方向性が決まっていることが特徴です。

あなたは、雑記ブログと特化ブログのどちらかを選択しなければなりません。どちらを選択すれば良いのかは状況、価値観、得意分野、性格などの要因があるため一概には言えません。ヒントとしては、好きなことや、続けられそうなテーマ、他人には負けないジャンルなどが良いでしょう。

それらのジャンルをブログのテーマにすることは様々なメリットがあります。最大のメリットは、それらについてブログを始める前から既に深い知識があり、最初から調べたり学ばなくても良い点です。過去に調べたり学んだ知識をブログに書き起こすだけなので、何も知らない人と比べて明確なアドバンテージになります。何も知らない人は、最初から調べたり学ばなくてはならないため、時間というリソースをコストとして消費しなければなりません。その点、好きなジャンルや得意な分野は最初からその問題をクリアしています。

例えば、カメラが趣味ならば撮った写真以外にもカメラの性能、構造、メーカー、歴史など書けるテーマは少なくありません。好きなジャンルに関連することならば、書き続けることも苦にはなりません。しかし、一方で好きではないジャンルを無理に書こうとしても成果が出せず苦しい思いをすることになります。例えば、アフィリエイトとして儲かるからと言ってクレジットカードのジャンルを書いてしまうなどです。そのような場合、インセンティブが予想よりも遥かに下回るため、長続きはしないでしょう。

そのため書くべきテーマは、あなたの好きなジャンル、または得意とする分野の方がモチベーションの維持や、書くネタが切れてしまうリスクを回避しやすくなります。しかし、あなたが書こうとしているテーマが既にレッドオーシャンであることは珍しくありません。特に PV が見込める需要の高い分野がブルーオーシャンである可能性はとても低いでしょう。そのようなレッドオーシャンの中で戦うためには戦略が必要になります。戦略の中でも有効とされているのがランチェスター戦略です。ランチェスター戦略の詳細はブログにおけるランチェスター戦略の記事を参照してください。

文章の書き方

ブログとして多くの人に読んでもらうための文章と、ただの日記とでは文章の書き方が異なります。ブログは多くの人に読まれるために論理的、かつ分かりやすく書く必要があります。なぜならブログは情報を伝える手段であり、テキストベースのコミュニケーションツールだからです。

伝わらない文章は、ブログとしての条件を満たしていません。一般的な伝わるブログの書き方の手法としては、Web ライティングと呼ばれる技術があります。Web ライティングについてはWeb ライティングとはを参照してください。しかし、Web ライティングは正しい文章を書くための技術であり、正しい文章だけでは伝わる文章とは言えません。

伝えるための文章を書くためには、文才などの特別な才能を必要としません。テクニックさえ習得してしまえば、誰にでも伝えられる文章を書くことができます。

技術系ブログ以外にも、伝わりやすい文章を書くことができます。その最低条件とは、論理的な文章です。話の流れや順序がきれいに並んでいなかったり、話の粒度が揃っていなかったり、論理が飛躍していたりすると、分かりにくい文章になります。

上記のテクニックを駆使すれば、ある程度の品質、ある程度の速度でブログを執筆することは可能です。より効率的にブログを書く上で、それらのライティングテクニックはあなたの基礎となります。基礎を習得できれば、どのような形にも応用することができます。しかし、逆にテクニックを知らなければ記事を何本書こうとも文章力は上達しません。ブログを通じて成長できるかどうかの最初の一歩は、テクニックを知ることから始まります。

SEO 対策

検索エンジン最適化 (SEO:Search Engine Optimization) とは、Web ページが検索結果の上位にランキングさせるための最適化手法です。より厳密な定義では、あなたのサイトを検索エンジンに正しく評価してもらうために最適化する手法です。上位にランキングされるのは、その評価された結果であり副次的な意味になります。検索エンジン最適化についての詳細は検索エンジン最適化とはを参照してください。

有益な情報をブログにまとめたとしても、それはまだ仕事の半分です。もう半分は、その有益なブログの存在を知らしめることです。そのためには、最低限の SEO 対策を施す必要があります。過剰な SEO 対策は必要ありませんが、何も SEO 対策をしていないことはインターネット上にあっても孤立していることと同じことです。ブログにおける生存戦略とは、隠れた名店ではなく、チェーン店のような一般大衆に認知された店を目指すようなものです。どのような有益な情報であったとしても、知られていなければ存在しないことと同じです。

SEO 対策は、Google が公式にスターターガイドを公開しており、それ以上の SEO 対策手法はありません。多くサイト、書籍などでスターターガイド以上の情報が公開されていますが、それらの情報はすべて確率の問題であり絶対ではありません。過剰な SEO 対策をしなくとも、公式のスターターガイドに準拠すれば、あとは Google が勝手にやってくれます。その他にも Google のフォーラムやオフィスアワーで SEO に関する質問と回答が公開されているため、確認するのも良い方法かもしれません。

SEO 対策以外に広く拡散されるためには、バズを引き起こすことがもっとも有効です。バズを狙って起こすことは困難ですが、それでもバズを引き起こす記事の特徴や傾向などは存在します。それらの詳細についてはバズる記事の特徴を参照してください。

正確に言えば、バズは運次第で結果として発生するものであり、狙って引き起こすものではありません。しかしそれでもバズが起きやすい条件、つまりバズを発生させる人間の心理は上記の記事で紹介されているとおりです。バズが発生する期待値の高いメディアは SNS です。ツイッター、はてなブックマーク、Facebook などが良いでしょう。それらのメディアをうまく使いこなすことで、SNS からのトラフィックが期待できるようになります。

ユーザビリティ

ユーザビリティは、ある意味で SEO 対策よりも優先的に解決するべき根本的な課題であり、可能であればサイトを構築する前に検討するべき事項です。なぜならブログは自分のためではなく、それを閲覧する第三者のユーザのために書いているため、ユーザビリティを第一に考慮しなければなりません。Web ユーザビリティの詳細についての詳細は Web ユーザビリティとはを参照してください。

Web ユーザビリティは、情報アーキテクチャ、ファインダビリティ、アクセシビリティ、サイト/ページデザイン、コンテンツデザインなど複合的な要素から構成されます。それらを高いレベルでバランスを取ることは容易ではありません。しかし、ユーザファーストを目指すサイトであれば避けては通れない課題です。

ユーザビリティは、ユーザの使い勝手に直結します。どのような優れたコンテンツであってもユーザビリティが悪ければ、ユーザは読み続けようとはしません。つまり、ユーザビリティは表面的なデザインではなく、骨格を支える構造のデザインになります。

ユーザビリティの恩恵は、サイトがまだ小さいうちは感じられません。しかし、記事数が増えていくにつれて、情報を整理するルール、探しやすさ、見つけやすさにおいて効果を発揮します。

サイトは図書館に例えると、書いた記事は本のようなものです。最初の数冊は整理しなくてもすぐに見つけることができます。しかし、蔵書数が増えるにつれて、情報の分類や整理が必要になってきます。それらを最初から考慮しておくかどうかで、大きな図書館になったときのユーザビリティが格段に違うものになってきます。

例えば、トップページについて考えてみます。多くのブログでは、公開日順の時系列に並べてあります。しかし、ニュース記事でもないブログを時系列順に並べる意味はあるのでしょうか。多くのユーザに読まれている PV 順や、シェア数順、人気順、評価順で並べていないのはなぜでしょうか。あなたが、とあるブログのトップページを訪れたとき、本当に並んでいて欲しい順番は公開日順なのでしょうか。

このように、トップページの記事の並び順をひとつ取っても議論の余地があります。ユーザビリティを独学で学ぶことは難しいため、多くのブログでは多くの場所に議論の余地を残しています。しかし重要なポイントは、完璧なデザインではなかったとしてもユーザファーストで考えているかどうかです。

ユーザは怠け者ではありませんが、面倒を極端に嫌います。それは、キー入力や1クリックのレベルにまで及びます。ユーザビリティを考慮しないサイトは、目的の情報に到達するまでに複数回クリックしなければなりません。有益な情報であったとしても、ただそれだけのことでユーザは離脱してしまいます。多くの A/B テストの結果から、ボタンの色やサイズ、クリックする回数などをテストした結果、ほんの少し変えただけでもコンバージョン率が大きく異なる結果が出たという話は珍しくありません。

小さなブログでは A/B テストに必要なデータを集めることすら困難ですが、ユーザビリティとしてどのような状態がより好ましいのか知識として知っておくことは強力な武器になります。

ブロガーとしての資質

最後は、ブロガーとしての資質についてです。ブログの世界は自由であり、何事にも制約されず、好きなように表現できると思いがちです。しかし、道徳の観点からこの考え方はすぐに間違いであると気付きます。嘘や誇張表現によりユーザを欺いてまで PV を稼ごうとする手法は道徳的に正しくありません。私たちは直感的にそのような手法は間違いであることを理解しており、試みようとはしていません。

しかし、ブロガー全員がそのような正しい道徳観を持ち合わせているわけではありません。良識の欠けたブロガーは、インセンティブのため意図的に過ちを犯します。それはブロガーの正しい資質とは言えないと考えます。ブロガーの正しい資質についての詳細はブロガーの正しい資質とはを参照してください。この記事は、やや哲学的で発展的な内容が含まれますが、正しいブロガーとはどうあるべきかを考えてまとめてあります。

ブロガーは情報の提供者であり、その情報については公正であることが求められ、読み手であるユーザもまたそれを期待しています。もちろん主義、主張、思想、価値観、立場、状況などによって中立性を確保できない場合もあります。しかしだからと言って、嘘や誇張、都合の悪い部分を隠蔽、捏造、あるいはミスリードさせるブログはフェアではありません。そして、そのようなブログに道徳的な価値はありません。

哲学者のカントは、行動を道徳的な価値のあるものにする要因は、動機、意思の質、行為がなされる意図と定義しています。つまり、PV を得るにしろ、お金を得るにしろ、何らかの自分にとってのインセンティブを獲得するために書かれたブログに道徳的な価値はありません。

まとめ

近年、ブログは気軽に始められるサービス、またはプラットフォームとして成長してきました。しかしその一方で、ブログを始める前に検討しなければ、将来的に困難な場面に陥ってしまう考慮事項が抜けているように感じます。それにも関わらず、ブログの戦略としてまとまった情報がなかったために、ブログを始めるためには何を考えなければならないのかを網羅しました。

ブログそのものは自由であり、それらのことを考慮しなくても書けることは書けます。しかし、本気でブログに取り組み、サイトを成長させていくつもりならば、遅かれ早かれ解決しなければならない課題として表面化します。その問題は、氷山の一角のように一部しか表面化しないかもしれませんし、大きな問題として降り掛かってくるかもしれません。いずれにしても、解決しなければならない問題となるでしょう。

なぜブログを始める前から、このような重たい問題を考えなければならないのかと言えば、ブログを始める前が一番解決しやすいからです。これらの問題をブログを始めてから解決しようとすると、既に建築済みの家をリフォームするように、破壊的な変更が必要になるかもしれません。しかし、ブログを始める前であれば図面の修正だけで済みます。問題を放置すれば、その分だけ解決がより困難になるでしょう。

ブログを始めることは簡単です。そして誰にでも出来ます。しかしそれらのことを考え、解決に向けて努力し、改善し続けることはブロガーにしか出来ません。ブロガーには社会的に何の権威や効力もないことは最初に述べましたが、この点において趣味の物書きとは区別する点ではないでしょうか。

そう言った意味では、ブロガーとはとても大変な割には見返りが少なく、社会的な地位も与えられません。しかし文章を書くことや知的好奇心を満たすことは、純粋に面白くクリエイティビティであると言えます。ブロガーとしての動機は、他者からのインセンティブではなく、自身の目標や目的を果たすインセンティブによって満たされます。それ以外の動機 ー例えば、お金を稼ぐ動機ー では、ブログを利用したマネタイズを行っているだけで、純粋なブロガーとは呼べません。

ブロガーは、最後に述べたブロガーの正しい資質のように、道徳心を併せ持つ必要があると考えています。それはユーザビリティや SEO 対策などのテクニカル以前の問題であり、人としての資質です。あなたがブログを始めるとき、どうかその初心を忘れないようにしてください。

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