ブログを論理的に書くための Web ライティング技術

読みやすい文章とは

あなたは、あなたの書いた文章の「解読」を読み手に押し付けてはいないでしょうか。読み手は、読みにくい文章、難しい表現、わからない単語があっても解読をしてはくれません。そのようなコンテンツには早々に興味をなくし、たとえ良質なコンテンツであったとしても、ページから離脱してしまいます。

書き手は、読み手にストレスを与えない読みやすい文章を提供する必要があります。読みやすい文章とは、コンテンツを支える基礎のようなものです。良質なコンテンツも、それを支える基礎がなければ読まれることはありません。

それでは読みやすい文章とは、どのような文章でしょうか。正しい日本語で書かれているだけでは、読みやすい文章とは言えません。読みやすい文章とは、論理的に整っている文章です。論理的に整っている文章は、誰にとっても読みやすく、速読と精読のどちらにも対応できます。

しかし、読みやすい文章を心がけるブロガーでさえも、読みにくい文章を書いてしまいます。ブロガーがライティングの技術を学ぶ場合、Web ライティングをお手本にします。Web ライティングは、SEO に対応する書き方や、日本語の正しい書き方に特化していますが、論理的な文章の書き方までには言及していません。そのため、日本語的には正しい文章でも、どこか説得力に欠けた違和感を感じる文章になります。

Web ライティングで習ったとおりに、ひとつひとつの短い文章をつなぎあわせても、分かりやすい文章にはなりません。多くのブログの文章は冗長で、使われている言葉は抽象的で、話の流れも段落の組み立て方もバラバラです。論理的に文章を書くための文章術を知らなければ、ブロガーでさえもどこをどのように直せば良いのか判断ができません。

論理的に文章を書くための文章術は、ブログに限らず様々なシーンで利用できます。ビジネス、コンサルティング、論文、メールに至るまで通用します。テキストベースのコミュニケーションにおいて、情報を正しく判断できることは、もっとも基本的なポイントです。しかし、その基本を守ってコミュニケーションするためには、ライティングスキルが求められます。

情報が氾濫するインターネットの世界では、情報の正しさがますます求められています。しかし、読み手にあなたの文章の「解読」を押し付けてはいけません。このページでは、情報の正しさを客観的に評価できる文章術を、いくつかのフレームワークを通じて説明します。

文章の論理構造

文章が分かりにくい原因は、文章力の問題ではなく「文章の構成」に問題があります。あなたは、あるテーマについて書くときにどのような順番で文章を構成しているでしょうか。分かりにくい文章の特徴として、文章の構成が書き手の思いついた順番で構成されているケースがあります。そのように構成された文章は、読み手の理解プロセスとうまくかみ合わないため、分かりにくい文章となります。文章の構成が書き手の思いついた順番では、書き手にとっては分かりやすい文章だと思えても、読み手からすると分かりにくい文章だと思ってしまいます。

テキストベースでのコミュニケーションは、意思疎通を行うコミュニケーションの中でも非常に困難です。あるテーマについて文章を書くとき、書き手の頭の中ではテーマについての情報が整理されているため、ある程度バラバラに書いても理解できます。しかし、読み手にとっては理解しやすい順番で構成されていなければ、読みにくい文章であると感じます。この文章は、何について書かれているのか、問題点は何か、それに対する対策は何か、結論は何かなど、情報の粒度や順番に注意しなければ、コミュニケーションとしては失敗します。

読み手にとって、もっとも分かりやすい書き方の構成は、まず主たる大きな考えを受け取り、そこから小さな考えに落としていく構成です。具体的には、結論から述べてから根拠を順番に述べていく方法です。つまり、ピラミッドの頂点からスタートして、それらを支える論拠を順番に書いていくトップダウンの方式です。このピラミッド構造を使うと、読み手とのコミュニケーションがずっと楽になります。

ピラミッド構造
ピラミッド構造

ピラミッド構造で文章を構成することは、書き手にも恩恵があります。なぜなら、文章の論理構造を組み立てていくうちに、論理的な矛盾や破綻を発見しやすくなるからです。もしも、それらの欠陥が見つかった場合、何かが間違っている、または不足していることに気付くことができます。

文章をピラミッド構造にするためには「情報の整理」、「情報の並び替え」、「情報の組み立て」のステップで行います。

情報を整理する

分かりやすい文章を書くためには準備が必要です。文章を書く前に、まずはテーマについての情報をすべて書き出して整理します。最初は情報の大きさも順番もバラバラで構いません。そして、集めた情報は以下の順番で整理します。

  1. メインテーマを書く
  2. メインテーマを読むための疑問を書く
  3. 疑問に対する答えを書く
  4. 読み手の状況を整理する
  5. 複雑化へと発展させる
  6. 疑問と答えの再チェックする

メインテーマは、記事のタイトルに相当するピラミッド構造の頂点です。読み手に、この文章は何のテーマについて書かれているのかを示す最初の手がかりになります。読み手に対してより説得力のあるタイトルにするには、具体的で明確なタイトルを設定してください。

メインテーマを読み進めるためには、いくつかの疑問に答えていく必要があります。その疑問とは、「なぜ? (Why?)」や「どのように? (How?)」といった切り口による疑問です。これはピラミッド構造の頂点にあるメインテーマを支える二段目のサブテーマです。サブテーマを示すことは、メインテーマに対する根拠や論拠を示すことになります。サブテーマを選定する場合、情報の大きさを他のサブテーマと揃えなければならない点に注意してください。

疑問に対する答えは、サブテーマを支える根拠や論拠になります。これらの根拠や論拠、または客観的なデータはピラミッド構造の三段目になります。ただし、疑問に対する答えを示すには、新たな疑問に答えなくてはならない場合、同様の方法でその配下に根拠を示す必要があります。ピラミッドの構造は、必ずしも三段構造にする必要はありませんし、純粋なシンメトリー構造にする必要もありません。ピラミッドの広さも深さも、扱うテーマや切り口によって、様々な形に変化します。

ここからのステップは、今まで整理した情報と読み手が求めている情報の確認作業です。読み手の状況の整理とは、読み手がメインテーマを読むにあたって納得するための理由や背景です。何かのメインテーマを読むべきかどうかは、読み手の状況に左右されるため、多くの場合はタイトルの直下に設置されます。Web ライティングではリード文とも呼ばれ、読み手に対する導入文です。例えば、私たちが多くの記事の中からどれを優先して読むべきかは、自身の状況とタイトルや概要文から、一番有益そうな記事を選ぶはずです。読み進めなければ、読むべきかどうか分からない記事は論理的ではなく、読み手にも優しくありません。

複雑化への発展は、読み手を想定した Q&A です。読み手の状況から、どのような疑問 (「それで何? (So what?)」) が出てくるかを考えます。なぜ、読み手はそのような疑問が生じたのでしょうか。読み手が知りたい疑問や、生じる疑問、納得させるための根拠の整合性は取れているでしょうか。整理した疑問の過不足、矛盾などはないでしょうか。

最後のステップでは、疑問と答えの再チェックを行います。あなたの用意した答えは、すべての疑問に答えられているでしょうか。サブテーマ単位の小さなピラミッド単位、またはメインテーマのピラミッド全体を確認してください。原因や理由、または根拠や論拠について「なぜそうなる? (Why so?)」のか、論理的に矛盾はないかチェックします。もしも、論理的に矛盾している場合、根拠が間違っているか、疑問が間違っていることになります。

情報を並び替える

情報は書き手が考えた順番ではなく、読み手が聞きたい順番で並べ替えます。「結論から書くこと」というアドバイスがありますが、それはテキストベースのコミュニケーションの本質を表しています。なぜなら結論は、読み手がもっとも知りたい情報だからです。

情報の並べ方は、ピラミッド構造がもっとも論理的で理解されやすい基本パターンです。読み手の疑問に答えるピラミッド構造として、いくつかの代表的なパターンがあります。それらのパターンによって、ピラミッド構造の組み立て方が少しだけ変化します。代表的なパターンは、以下の 4 パターンです。

  1. 何をするべきか?
  2. どのように実行するべきか?
  3. 実行するべきか?
  4. なぜそのようなことが起きたのか?

「何をするべきか」のパターンは、もっとも一般的なパターンで、多くのシーンで利用できます。このパターンでの導入句は「○○せよ」となり、読み手に「どのようにして? (How?)」という疑問を明示的に与える形になります。そのため書き手は、読み手に対して具体的な方法を提示しなければなりません。状況に応じて、その背景にある「なぜそのような方法をとるのか? (Why?)」も説明するケースもあります。

「どのように実行するべきか」のパターンは、コンサルティングなどでよく使われるパターンです。誰かが問題を抱えており、その解決方法を伝えるために書くパターンです。「何をするべきか」のパターンと同じように、書き手は読み手に「どのようにして? (How?)」という具体的な方法を提示します。前述のパターンと異なるポイントは、行動の順番を示すステップ別にピラミッド構造を組み立てる点です。

「実行するべきか」のパターンは、意思決定を行うシーンでよく使われるパターンです。ここでの読み手の疑問は、与えられたテーマに対しての Yes/No しかありません。このパターンの代表例は、お金を使って承認するかどうかの意思決定を行うシーンです。そのため、書き手は読み手に対して「なぜ実行するのか? (Why)」の理由を提示する必要があります。

「なぜそのようなことが起きたのか」のパターンは、原因分析を行うシーンでよく使われるパターンです。メインテーマから、プロセスや外部要因などのサブテーマに切り分けて「なぜ起こったのか? (Why)」を提示します。このパターンは、航空業界のアクシデントやインシデント、その他にもソフトウェア業界のバグ原因分析など、多くの産業業界で使われます。

情報を組み立てる

ここまでに整理した情報と、並び替えた情報をもとにピラミッドを組み立ててみてください。組み立てるときには、ピラミッドを構成するサブテーマ内を同じ論理的順序に従って配置します。論理的順序とは、例えば問題を解決するためにステップ順で分割したサブテーマでは、時間的な順序のみで構成し、他の論理的順序が混在させないようにすることです。手順を示すサブテーマでは手順のみの論理的順序に従い、方法を示す論理的順序は別のサブテーマに切り出してください。

情報を組み立てるときに、もっとも注意しなければならない点は、「モレ」や「ダブリ」をなくすことです。モレやダブリがあるピラミッド構造は、論理的であるとは言えません。もしも、モレやダブリが見つかった場合、テーマを分割した切り口が間違っているか、根拠やデータが不足しています。

一方でモレやダブリをなくすために、すべてを書き出すには数が多すぎて書き出せない場合があります。そのようなケースでは、重要度の切り口を追加して「重要な問題」と「その他の問題」というように「度合い」の論理的順序で組み立てます。このように分割することで、すべてを書き出すことができ、モレやダブリもなくすことができます。この方法は、次章の「ロジックツリーと MECE」で詳しく述べます。

情報を論理的に組み立てる場合、余計な言葉はいりません。うまい表現を多様したり、言葉を優雅につなげることは、明瞭な論理表現を台無しにします。読み手が楽しい文章を読むことと、論理的な理解を得ることは、ある意味でトレードオフの関係になります。淡々と根拠を並べた文章だけで構成した文書は無機質な感じになりますが、論理的な理解は得やすくなります。

組み上がった情報は、ピラミッドの頂点から見出し、章、節、項、段落の順番でテキストに変換することができます。そのため文章を書くことが苦手な人は、まずは大雑把にでもピラミッドを組み立てることから始めると良いかもしれません。

ロジックツリーと MECE

情報を整理するとき、モレやダブリをなくすために、便利なツールとしてロジックツリーがあります。ピラミッド構造とよく似ていますが、ピラミッド構造はコミュニケーションを主目的としており、ロジックツリーは問題の発見や解決を主目的としています。ピラミッド構造では上下の階層に対して「So What?」や「Why so?」によって論理性をチェックしていますが、ロジックツリーでは MECE を使用します。MECE (Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive) とは、ある集合を相互に排他的な項目に分類するためのグルーピング原理です。

ロジックツリーにおける MECE
ロジックツリーにおける MECE

例えば、人間を年齢によって分類する場合、20 歳未満と 20 歳以上のグループを作ることはモレやダブリがないため MECE となります。ある人が 19 歳と 20 歳を同時に満たすことは不可能であるため、いずれの場合においてもどちらかのグループに属することになります。しかし、人間を男性と女声に分類することは、MECE に思えますが、両性具有などの例外が存在する場合は MECE とならないため、注意が必要です。

MECE の概念図
MECE の概念図

MECE はロジカルシンキングにおける基本的な概念です。ロジカルシンキングに慣れていない場合、例外の見落としによるモレ、またはグルーピングの誤りによるダブリが発生しがちです。そのようなモレやダブリを防ぐためには、正しいアプローチによって MECE を完成させます。MECE の精度を上げるためのアプローチとしては、トップダウンアプローチと、ボトムアップアプローチの 2 つのアプローチがあります。

トップダウンアプローチでは、ロジックツリーの頂点から下に展開していくアプローチです。大きな問題を、目的や課題に沿った切り口で分類していきます。このアプローチは全体像が明確な場合や、分類方法が想定しやすい場合に有効です。ボトムアップアプローチと比べて、体系立てて整理できるメリットがあります。ただし、既知のケースに対するアプローチであるため、未知のケースには対応できません。

ボトムアップアプローチでは、ロジックツリーの最下層から要素を洗い出して組み上げていくアプローチです。このアプローチは、全体像が不明確な場合や、分類方法が検討できない場合に有効です。トップダウンアプローチに比べて、未知のケースでも検討できるメリットがあります。ただし、未知のケースに対してアプローチするため、分類が難しく、モレやダブリが発生しやすい可能性があります。

MECE では、どのような切り口で分類するかが非常に重要になります。なぜなら MECE に切り分けたとしても、その切り口自体に意味がなければ、誤った結論を導き出してしまうからです。例えば、原因分析としての Why ツリー、問題解決としての How ツリー、要素分解としての What ツリーがあります。どのような切り口で分類すれば良いのか迷った場合、マーケティングのワークフレームがヒントになるかもしれません。

マーケティングの世界では、分析を行うためのワークフレームがいくつも存在します。例えば、3C 分析では自社・競合・顧客に分類され、SWOT 分析では内部要因と外部要因の強み・弱みに分類されています。それぞれのワークフレームには、何を分析するかの特性があります。もしも、利用できるワークフレームが存在する場合は、オリジナルの分類にするよりもフレームワークに従った方が良いでしょう。

帰納法と演繹法

帰納法と演繹法は、どちらも論理展開を行う一般的な方法です。これまでに説明したピラミッド構造やロジックツリーも帰納法と演繹法が使われています。

帰納法とは、複数の具体的な事実から同一の傾向を見つけ出し、結論としてまとめる論理的推論方法です。例えば、「A、B、C さんは死ぬ」という個別事象から、「人間は死ぬ」という仮説を立て、「人間は必ず死ぬ」という一般化された原理原則を導きます。

ただし、帰納法は根本的な問題を抱えています。なぜなら帰納法は、あくまでも確率や確度といった蓋然性の導出にとどまるからです。例えば、「今まで見たすべてのカラスは黒い」という経験から、「世界中のカラスは黒い」と定義することはリスクがあります。もしも、「白いカラス」を発見した場合、理論がすべて崩れてしまう反証可能性を残してしまうことになります。このようなリスクは「ヘンペルのカラス」とも呼ばれ、帰納法のリスクを示しています。

帰納法には、その他にも早すぎる一般化の問題もあります。例えば、「ビールには水が入っている」、「ウィスキーにも水が入っている」、「ブランデーにも水が入っている」、よって「水を飲むと酔っ払う」などです。この帰納法の危険性を表現した寓話として、七面鳥の寓話がよく知られています。

quote
ある七面鳥が毎日 9 時に餌を与えられていた。それは、あたたかな日にも寒い日にも雨の日にも晴れの日にも 9 時であることが観察された。そこでこの七面鳥はついにそれを一般化し、餌は 9 時になると出てくるという法則を確立した。そして、クリスマスの前日、9 時が近くなった時、七面鳥は餌が出てくると思い喜んだが、餌を与えられることはなく、かわりに首を切られてしまった。
バートランド・ラッセル

演繹法とは、一般的な原理原則から個別的事象を推論する方法です。帰納法は前提が真であったとしても結論が真であることは保証されない点に対して、演繹法は前提が真であれば結論も必然的に真になります。例えば、「人間は必ず死ぬ」の大前提と、「ソクラテスは人間である」の小前提から、「ソクラテスは必ず死ぬ」という結論を導きます。このように、ふたつの前提から導き出す演繹法を三段論法と呼びます。

帰納法が前提と結論が蓋然的に正しいとされる点に対して、演繹法は前提が正しいと認める場合に限り、結論も必然的に正しくなります。前述した例においても、ソクラテスの代わりに人間であれば誰を入れ替えても、正しい結論になります。

帰納法と演繹法は、ピラミッド構造やロジックツリーにおいて理論を組み立てる場合に、正しさを証明するための重要な論理的推論の方法です。特に帰納法が抱える問題点や、演繹法の前提を間違える可能性については、誤った結論を導くかもしれないため注意が必要です。

帰納法と演繹法を正しく用いるためには、それぞれの特性を理解して使い分けるべきです。例えば MECE として、帰納法はボトムアップアプローチですし、演繹法はトップダウンアプローチになります。その他にも、帰納法はアンケート調査による統計を使用する場合などに適しており、演繹法はアイデアが正しいことを証明する場合などに適しています。

帰納法と演繹法を用いるときのポイントとしては、状況に合わせて使い分けることです。

ロジカルライティング

ロジカルライティングとは、論理的な文書を書く技術です。ロジカルライティングで書かれた文書は、ページ数が多くても読みたい情報までのアクセス性に優れています。ロジカルライティングは、あたかも正しくマークアップされたセマンティックな HTML ドキュメントのようなものです。すべての情報が論理的なルールに従って配置されているため、初めて読む文書でもわかりやすい構造になっています。

ロジカルライティングは、ビジネスのシーンで用いられることが多いスキルです。ビジネスの世界では、毎日多くの書類に目を通すことになります。特に役職がついている人は、大量の書類をチェックしなければなりません。しかし、すべての書類を精査する時間が取れないため、ロジカルライティングのスキルが重宝されます。

ロジカルライティングで書かれた文書は、読み手が読むべきかどうかすぐに判断できます。読むべき文書である場合、すべてを読まずとも、どこを読めば判断できるのかすぐに分かります。そして、読み手に何を期待しているのかが明確になっているため、非常に効率的なライティング方法です。

ロジカルライティングは、ページ数の多い文書から報告書、企画書、議事録、提案書、メールまで幅広く使えます。もちろん、ブログへの応用も可能です。ただし、ロジカルライティングで書かれた文書に派手さはなく、どちらかと言えば地味になります。そのため、普段生活していても「この文書はロジカルライティングで書かれている」と気付くことは滅多にありません。

総論と各論

何かのテーマについて文書を書くとき、必ずタイトルを付けます。タイトルは、その文書は何について書かれているかを一言で表した要約文になるはずです。その他にも文書は、いくつかのセクション (章、節、項など) に分割して書かれます。ロジカルライティングでは、それぞれのセクションが何について書かれているかの要約文も必要とします。

ロジカルライティングでは、冒頭の総論で伝えたいテーマを宣言し、各論で総論を具体的に展開します。そのため、総論はすべての各論の要約でなければなりませんし、各論は総論の一部でなければなりません。総論で登場したキーワードが、どの各論でも登場しないのはロジカルライティングとは言えません。逆に、総論で登場しないキーワードで各論を展開してはいけません。

「文書全体の総論」は文書の冒頭に登場しますが、各論にも「各論の総論」が各論の冒頭に必要です。それぞれの各論は、小さな文書であると見なすことができます。そのため各論の見出し文 (タイトル) は、その各論の要約文にしなければなりません。そして、この各論では何について述べるのかの要約文を各論の冒頭に書きます。そうすることで、読み手は各論単位で読むべきかどうかの判断ができるようになります。

トピックセンテンス

トピックセンテンスとは、その段落で述べられている文章の要約文です。上述した「総論と各論」で、各論にも要約文が必要であると述べましたが、段落のレベルまで突き詰めたものがトピックセンテンスです。トピックセンテンスを段落の冒頭に設けることで、読み手は段落単位で読むべきかどうかの判断ができるようになります。

トピックセンテンス
トピックセンテンス

トピックセンテンスが段落の冒頭にあれば、これからこの段落では何を伝えようとしているのかが分かります。逆に、トピックセンテンスに登場しないトピックを同じ段落に登場させてはいけません。もしも登場させる場合は、トピックセンテンスにトピックに含めるか、他の段落として切り出す必要があります。

ただし、トピックセンテンスに複数のトピックを含めることは、あまり好ましくありません。もしも 1 つの段落に複数のトピックが混在する場合は、文書構造の分割を検討してください。1 つの段落に複数のトピックについて述べられている場合、その段落が主張したいことがわからなくなります。

ブログでもタイトルの近くにリード文を設置しているサイトをよく見かけます。リード文の役割は、読み手に「もっと読みたい」という気持ちにさせることですが、これから何について述べていくかを示すという意味ではトピックセンテンスと同じです。

既知から未知へ

既知とは読み手が既に知っているという意味で、未知とは読み手がまだ知らないという意味です。そのため、既知から未知へとは、読み手が既に知っていることを先に書き、読み手が知らないことを後に書くことです。正確には、未知のキーワードを既知のキーワードで説明しながら文章を書く方法です。

例えば、何かについて説明する場合、読み手には知っていることと、知らないことがあります。読み手が知らないことを先に書いてしまうと、読み手は意味がわからなくなるため混乱します。そのため、読み手の知っているキーワードで未知のキーワードを説明しながら文章を組み立てていきます。

既知から未知への形式は、統一型、引継型、展開型の 3 パターンがあります。

既知から未知へのパターン
既知から未知へのパターン

統一型は、ひとつの未知のキーワードについて説明するパターンです。未知のキーワードが大きい場合や、難しい場合など、一言で理解することは難しい場合に使われます。

引継型は、未知のキーワードを既知のキーワードに変えていくパターンです。あるテーマを説明するためには専門用語が多く、未知のキーワードを説明するために、別の未知のキーワードを使わなければならない場合に使われます。未知のキーワードを既知のキーワードで説明しながら、徐々に進めていきます。

展開型は、未知のキーワードを冒頭ですべて登場させてしまい、ひとつずつ説明するパターンです。未知のキーワードがいくつかの要素に分解できる場合や、箇条書きを用いて説明する場合などに使われます。

仮説思考

仮説思考とは、「まだ証明はできていないが、もっとも答えに近いと思われる答え」に従って意思決定を行う思考のことです。私たちは意思決定を行う場合、情報が多ければ多いほどより良い結果を出せると信じています。しかし、情報を網羅的に調べてから答えを出すことは時間的にも資源的にも無理があるため、早い段階で仮説を持つことが仮説思考の本質です。

仮説とは、コンサルティングの世界で多用される言葉ですが、私たちも日常的に使っています。例えば、「雨が降った日には、みんな外出するのが嫌だからレストランも空いているはずだ」という読みを立てて、レストランに出かける場合も仮説に従った意思決定です。もしも、レストランが空いていた場合は、自分の仮説は当たっていたことになり、次回も同じ意思決定を行いやすくなります。しかし、レストランが混んでいた場合は、みんな同じことを考えるため仮説が間違っていたか、天候とレストランの混み具合は関係ないと結論付けます。

なぜ仮説思考が重要なのかと言えば、問題解決のスピードが格段に速くなるためです。例えば、未知のケースについて分析を行う場合、ロジックツリーをボトムアップアプローチで組み立てます。しかし、闇雲に情報を集め、直感による帰納法で傾向を見つけ出そうとしても現実的には無理があります。そのため、課題を分析する場合、仮説から逆算して証明することで問題解決のスピードが速くなります。

それでは、問題の発見、または問題の解決に向けてどうすれば仮説を立てられるようになるのでしょうか。コンサルタントに、仮説はどのようなときに思いつくのかアンケート調査を行った結果、顧客とのディスカッションやインタビュー中に思いつくことが多い調査結果があります。しかし、仮説の立て方について定石のようなものはなく、人によっては突然ひらめいたり、じっくり考えているときに思いついたりします。コンサルティングの正解でも経験や勘、もしくはセンスによって思いつく場合が多いようです。

経験のない人でも仮説を立てるためのヒントはいくつかあります。分析結果の読み込み、業界・業務を理解する、反対から見る、別の視点から見る、スケールを変化させてみる、ゼロベースで考えてみる、深く掘り下げてみるなどです。仮説とは、問題から解決までに至るストーリーが虫食い状態になっており、論理が飛躍している隙間に橋を架けるような作業です。これらのヒントは、解決に至るまでの論理的な架け橋になります。

仮説思考はスピードを優先する代わりに、ある程度の信頼性を犠牲にするリスクを伴います。ロジックツリーのボトムアップアプローチなどの精度を向上させる可能性がありますが、同時に仮説が間違っている可能性もあります。ポイントは、仮説が間違っているかもしれないというリスクを常に考えておくことです。もしも仮説が間違っていても、間違いを認めたくないため、そのまま誤ったゴールを目指さないことが重要になります。

論点思考

論点思考とは、正しい問題、あるいは解くべき問題を設定することです。正しい問題解決プロセスは、正しい問題を発見することから始まります。解くべく問題の設定を間違えた場合、正しい解決方法には至りません。私たちは、暗黙的に正しい問題を解いていることを想定しています。しかし、それは正しい問題であるとは限りません。もしも、誤った問題を解いている場合、失敗を達成するために努力していることになります。

有名な例として「1 つのケーキを 2 人が納得するように二等分するためにはどのようにすれば良いか?」という問題があります。あなたは、どのように問題を設定するでしょうか。ここで設定するべき問題は「どうすれば正確に二等分できるか?」ではありません。設定するべき問題は「どうすれば 2 人が納得するか?」になります。そのため模範解答は、ひとりがケーキをできるだけ半分になるように切り分け、もうひとりが好きな方を選ぶという方法です。この方法であればどちらも納得できますし、正確に二等分するよりもずっと簡単に解決できます。

それでは、どのようにして問題、つまり論点を見つけ出せば良いのでしょうか。ただし、時間も資源も有限であるため、すべての問題に対処する余裕はありません。そのため、問題に優先度をつけて、最優先の問題から取り組む必要があります。具体的に論点を見つけ出すには、以下の 4 つのステップで見つけ出します。ただし、以下の 4 つのステップは順不同であったり、スキップしたり、繰り返し行う場合もあります。

  1. 論点候補を拾い出す
  2. 論点を絞り込む
  3. 論点を確定する
  4. 全体像で確認する

論点候補を拾い出すステップでは、何が本当の論点なのか探るために、どんな論点がありそうかリストアップします。ポイントとしては、それが解決されることで、どんな良いことがあるのかもあわせて考えることです。必要に応じてリストアップした論点が、本当に問題解決になるのか顧客や上司にインタビューすることもあります。

論点を絞り込むステップでは、リストアップされた論点に優先順位をつけます。優先度を決めるための評価軸は、お金、時間、人、期限、発生確率、影響度、費用対効果、あるいは解決可能かどうかも含まれます。いくつかの評価軸による優先度を設定しても論点を絞りにくい場合は、本当の問題は何か仮説を立てて当たりをつけます。例えば、その問題は一時的か長期的か、一部なのか全体なのかなど、白黒つけやすいところからアプローチします。その結果、同じ優先度であったとしても解決するべき問題が見えてくる場合があります。

論点を確定するステップと、全体像を確認するステップでは、論点が本当に真の問題なのかを確認するステップです。例えば、顧客から解決して欲しい問題を提示されても、その問題の背景には別の問題が隠れているかもしれません。論点が本当に正しいかを探るためには顧客に質問したり、仮説をぶつけて反応を見たり、現場を見たりする方法があります。これらを行う理由は、問題の背景、顧客の意図、発言の真意などのバックグラウンドを明らかにするためです。

本当の問題とは何かを常に考える姿勢はとても重要です。あなたのブログが日記でなければ、誰かに何かを伝えようとしているはずです。そのための問題、または論点、アプローチは正しいものでしょうか。間違った問題を設定してはいないでしょうか。解決までのアプローチは現実的で正しいものでしょうか。その記事の結論は本当に読み手が納得し、望むものでしょうか。

論点思考は、あなたのブログには合わないかもしれませんし、あるいは劇的に変えてしまうかもしれません。しかし、もしも何かの問題を解決するためのブログであれば、論点思考の考え方は読み手に論理的な理解と納得感を与えるはずです。

まとめ

あなたの文章が伝わりにくい原因は、文才がないからでも、相手の理解力が足りないからでもありません。論理的に表現する方法を知らないからです。テキストベースのコミュニケーションはとても難しく、正しく伝えるためには技術が必要です。文章を論理的に構築する技術は、テキストベースのコミュニケーションを円滑にするための技術です。この技術を習得することができれば、より正しく伝えることができます。

ただし、この技術を習得することは簡単ではありません。ピアノや射撃を行う人が毎日練習しなければ腕が落ちるように、意識して行わなければ習得できません。分かりやすい文章を書くためには、意識して論理的な文章を書くことを心がけることが大切です。

Category:
WEBデザイン
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